
2025年春、日本女子プロゴルフ界に激震が走りました。
既婚の男性キャディ・栗永遼氏が、若手女子プロゴルファー3名と不倫関係を持っていたことが発覚し、「トリプルボギー不倫」として大きな社会的関心を集めました。
この事件は、単なる個人的な不祥事にとどまらず、プロスポーツ界の倫理観やガバナンスの在り方にまで波紋を広げる重大な問題として受け止められています。
また、被害者的立場に立たされた他の選手や関係者にも少なからぬ影響を及ぼし、女子ゴルフ界全体のイメージや信頼性にも影響が及んでいます。
ここでは、この前代未聞の不倫スキャンダルの全容と、日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)が下した処分の詳細、さらに再発防止策や今後の課題について多角的に考察します。
トリプルボギー不倫事件の概要

2025年3月、週刊誌の報道を契機に明るみに出たこのスキャンダル。
中心人物である栗永遼氏(30歳)は既婚者でありながら、以下の若手女子プロゴルファー3名と不適切な関係を持っていたとされます。
- 川崎春花選手(22歳・村田製作所所属)
- 阿部未悠選手(24歳・ミネベアミツミ所属)
- 小林夢果選手(21歳・ヨコハマタイヤジャパン所属)
この3名はいずれも国内女子プロゴルフ界で注目を集める有望な選手たちであり、過去の大会でも安定した成績を残してきました。
特に川崎選手は若手のホープとしてツアー優勝経験もあり、その名がスキャンダルに関連して挙がったことは、ゴルフファンや関係者の間で強い衝撃と失望を呼びました。
阿部選手は持ち前のパワフルなスイングで注目を集めており、メディア露出も多かったことから、より広範な社会的関心を引き寄せました。
また、小林選手はフレッシュなキャラクターと安定感のあるプレースタイルでスポンサーからの期待も大きく、企業活動への波及効果も小さくありませんでした。
いずれの選手もプロゴルファーとしての将来性を高く評価されていた存在であり、彼女たちの名前が不倫スキャンダルに関連して報道されたことで、世間の衝撃はさらに大きなものとなり、女子ゴルフ界のイメージ低下に直結する深刻な問題と受け止められました。
日本女子プロゴルフ協会(JLPGA)の対応と処分

2025年5月20日、日本女子プロゴルフ協会は懲戒諮問委員会と理事会を開催し、以下の処分を正式に決定しました。
栗永遼キャディへの処分
- 国内JLPGAツアーおよび関連イベントへの9年間の立ち入り禁止
- 処分理由:「協会会員の配偶者でありながら、複数の若年会員に積極的に働きかけた」ことが重大な規律違反と判断
この処分は、事実上のツアー追放と受け取られています。
特にJLPGAが明確に「酌むべき事情は特にない」と判断した点が重く、プロとしての資質だけでなく、倫理観や常識に欠ける行動であったことが決定的でした。
9年間という期間は、事実上のキャリア終了といっても過言ではなく、他のキャディーや関係者への強い警鐘ともなっています。
また、この処分は国内だけでなく、海外ツアー関係者の間でも話題となり、日本ゴルフ界の対応が注目される契機ともなりました。
女子プロゴルファー3選手への処分
- 厳重注意
- 新人セミナー第1〜3日目の受講義務
協会は次の点を考慮して比較的軽い処分にとどめました:
- 主導的に問題を引き起こしたものではない
- 真摯に反省している
- 社会的制裁(スポンサー契約打ち切り等)を既に受けている
- 若年で今後の成長が見込める
この判断には賛否両論があるものの、協会は「更生の余地」を重視し、彼女たちにプロとしての倫理を改めて学ぶ機会を設ける意図が込められています。
加えて、選手たちが今後のツアーで結果を残しながら信頼回復を目指すには、競技面での努力と誠実な姿勢を積み重ねていくことが何よりも重要だと協会は強調しています。
世間の反応と選手たちの現状
処分の発表後、SNSやメディア上では賛否両論が渦巻きました。
- 栗永氏の処分に対しては「軽すぎる」「永久追放すべき」といった厳しい声が多く寄せられました。
彼が既婚者でありながら、複数の女子選手に働きかけていたという行動に対し、プロフェッショナルとしての倫理観の欠如を強く非難する意見が目立ちました。 - 女子選手への処分についても、「甘い」「特別扱いだ」との批判が少なくありません。
特に、厳重注意という形式的な処分にとどまり、新人セミナー受講義務のみという内容が、事実上の実害を伴わないと受け取られたことが、世論の反発を招いています。
一方で、若年である彼女たちに更生の機会を与えるべきだという擁護の声も一部で見受けられ、処分をめぐる議論は現在も続いています。
競技復帰後の選手たちの様子も注目されており、その動向が処分の是非を判断する一つの材料となっています。
選手たちの競技復帰後の様子は以下の通りです:
- 川崎春花選手:5試合の自粛を経て4月に謝罪会見を実施。
復帰後は成績が伴わず、4試合中3度の予選落ちと苦戦が続いています。
メンタル面の不安定さも指摘されており、本来の実力を取り戻すには時間がかかると見られています。 - 阿部未悠選手:開幕から出場を続けているものの、トップ10入りは一度もなく、プレー内容も安定感を欠いています。
試合中の集中力や判断力に課題が見られる場面もあり、ファンの間では復調を期待する声と同時に厳しい見方も広がっています。 - 小林夢果選手:序盤戦で2度の5位入賞と健闘するも、直近では予選落ちが続いており、波のある成績が目立ちます。
若さゆえの浮き沈みと捉える向きもありますが、スキャンダル後の注目度の高さにより、精神的負荷が大きく影響しているとの分析もあります。
成績や態度の違いにより、世間の評価にも差が生じており、選手ごとの精神的ダメージの深刻さがうかがえます。
また、選手本人たちが今後どのように信頼回復と競技成績の両立を図るのか、その姿勢と行動が、ゴルフファンやスポンサーの信頼を取り戻す鍵となるでしょう。
協会の再発防止策とガバナンス強化

この一件を受けて、JLPGAは再発防止に向けて以下の施策を打ち出しました:
- キャディー、選手、職員へのコンプライアンス研修の強化
- リスクマネジメント教育の定期的実施
- トラブル相談窓口および支援体制の強化
このような研修体制の整備は、今後同様の不祥事を防止するための第一歩です。
特に、コンプライアンス研修では倫理観の強化だけでなく、現場で想定される具体的なケーススタディを通じて、判断力や対応力を養うことが期待されています。
また、リスクマネジメント教育では、個人の行動が組織全体に及ぼす影響についての理解を深めるとともに、SNS時代における発信の責任や注意点についても重点的に取り扱われる予定です。
トラブル相談窓口の強化に関しては、より匿名性の高い通報体制の導入や、外部専門家との連携によるカウンセリング制度の構築など、多面的なサポート体制が検討されています。
同時に、キャディーと選手との人間関係に関する明確なガイドライン整備も喫緊の課題と言えるでしょう。
ガイドラインには、業務上のやり取りにおける適切な距離感や、プライベートでの接触に関するルール、双方の立場を尊重するコミュニケーションの在り方などが盛り込まれる見通しであり、健全な関係構築のための基盤づくりが求められています。
まとめ
「トリプルボギー不倫」事件は、日本女子プロゴルフ界に深刻な影を落としました。
プロフェッショナルとしての意識の欠如が、競技そのものの信用にまで影響を及ぼしかねないという教訓を残しています。
とりわけ、若手選手たちの将来に対する不安感や、ファンの信頼を損なった影響は長期的に続く可能性があり、イメージ回復には時間を要することが懸念されています。
栗永遼氏への9年間の追放処分は異例とも言える重さですが、選手たちへの処分を含め、果たしてこれで十分だったのかという声も根強くあります。
とくに、ゴルフ界に限らず、スポーツ界全体での倫理基準の見直しや、再発防止のための構造的な改革を求める声が高まっており、JLPGAの対応には今後も注目が集まり続けるでしょう。
今後の協会の運営姿勢と改革の実効性が問われており、女子プロゴルフ界全体が信頼を回復するためには、持続的かつ透明性のあるガバナンスが不可欠です。
協会だけでなく、選手個人の行動や、指導者・スタッフのサポート体制の在り方についても、あらためて見直す必要があります。
本件を教訓とし、選手と関係者一人ひとりが自覚と責任を持ち、より良い競技環境の構築に努めていくことが求められています。
倫理観の育成は一朝一夕で実現するものではありませんが、地道な取り組みの積み重ねが、未来のゴルフ界をより健全で魅力あるものへと導いていくでしょう。
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