和田秀樹が幸齢党を立ち上げ参院選へ　医療改革で日本再生を目指す

精神科医として広く知られる和田秀樹氏が、新たな政治団体「幸齢党」を立ち上げ、2025年夏の参議院選挙に向けて本格的な政治活動を開始しました。
35年以上にわたり高齢者医療に携わってきた和田秀樹氏は、医療現場での豊富な経験をもとに、医療制度の改革を柱とする政策を打ち出し、日本社会が抱える根本的な構造課題に挑もうとしています。

高齢化が進む中で、多剤併用や臓器別診療の弊害、医療費の肥大化などが深刻な問題として浮上する現在、和田氏は

と力強く訴えています。

「幸齢党」は、高齢者福祉の充実、医療費の最適化、年齢による差別の撤廃といった柱に加え、現役世代への経済的恩恵にもつながる構想を掲げ、幅広い世代に向けた未来志向のビジョンを提示しています。

幸齢党設立の背景と和田秀樹氏の決意

2025年6月9日、東京都内で開かれた記者会見において、和田秀樹氏は「幸齢党」の設立を正式に発表しました。
自身は参議院選挙への立候補は行わないものの、党代表として知名度を生かし、政策の浸透と有権者との対話に力を注ぐ方針を示しています。

記者会見では「高齢者の声を政治に届けるために、医療現場からの声を国政に反映させたい」と語り、多くの報道陣が注目しました。
すでに新人候補者5名を擁立しており、比例代表および選挙区の双方での候補者の追加も視野に入れながら、選挙活動を活発化させる構えです。

和田秀樹氏が政治の場に進出する背景には、日本の高齢者医療における深刻な構造的課題が存在します。
高齢者への「多剤併用」による副作用の増大、臓器別診療の弊害、専門医の細分化などが、医療現場で日常的に発生しており、患者の安全と健康を脅かしています。
特に高齢者が複数の診療科を渡り歩くことで、治療の一貫性が失われ、重複診療や不必要な投薬が行われるケースが後を絶ちません。
和田氏は、これらの制度的な歪みに終止符を打つためには、医療現場だけでの改善努力には限界があるとし、政治の力による包括的な医療改革に乗り出したのです。

幸齢党の理念と主な政策提言

「幸齢党」の最大の特徴は、「高齢者が幸せに暮らせる社会をつくる」という理念にあります。
和田秀樹氏は、「高齢者が元気でいることは社会全体の活力につながる」と主張し、単なる福祉の拡充にとどまらず、医療・教育・都市政策を含む広範な社会改革を提案しています。

特に、都市設計や医療教育の在り方にまで踏み込んだ政策は、他党には見られない視点を持ち、長寿社会における新しいモデル構築の可能性を示唆しています。

主な政策提言は以下の通りです。

・年齢差別禁止法の制定

・総合診療医の倍増による医療体制の再構築

・歩道へのベンチの増設など高齢者にやさしい都市づくり

・AI介護ロボットの積極導入による介護の質向上

・多剤併用の抑制と薬剤研究への国家予算投入

・厚生労働省、製薬業界、医学教育の抜本的改革

・医学部教育への栄養学の導入

これらの施策は、単に高齢者を支援するためのものにとどまりません。
医療の効率化や制度改革を通じて、社会全体の医療コストを削減し、若年層の社会保障負担を抑えることにもつながります。
さらには、介護や医療に携わる人材の待遇改善や働き方改革にも波及効果を及ぼし、持続可能な医療福祉体制の構築を後押しする総合的な政策群となっています。

非効率な医療制度への問題提起と改革の必要性

和田秀樹氏は、現在の医療制度が極めて非効率である点を強く指摘しています。
臓器別に細分化された診療体制の影響で、患者は複数の医師にかかり、多剤併用となる傾向が強まっています。
その結果、副作用のリスクや医療費の無駄が深刻化し、高齢者の生活の質（QOL）を著しく損なっています。
これにより、医療現場では高齢者が体調を崩すたびに複数の診療科を回り、医師間の連携不全による重複診療や不必要な投薬が慢性化する事例も報告されています。

また、厚生労働省と製薬会社の関係性や、現行の医学教育における偏りに対しても改革の必要性を訴えています。
とりわけ、製薬会社からの資金提供が医療現場における薬剤選定に与える影響や、医師の育成において「対人ケア」よりも「知識偏重」な教育が続いている現状に警鐘を鳴らしています。
患者本位の医療を目指すには、構造的な仕組みの見直しが不可欠であり、和田氏の提言にはその実践的な視点が色濃く表れています。

加えて、和田秀樹氏は精神科医としての視点から、心理的ケアの重要性も強調しています。
高齢者医療においては、身体的な治療だけでなく、心の健康に寄り添うケア体制の構築が欠かせません。
認知症やうつ病など精神的な側面からもサポートを充実させることで、高齢者の生活の質を全体的に底上げできるとしています。
和田氏の提案は、時代に即した先進的な医療のあり方を示しており、多面的な支援を前提とした医療制度の再設計を促しています。

現役世代にも波及する医療改革の恩恵

和田秀樹氏の改革案は、高齢者のためだけではありません。
医療費の最適化により国家財政が健全化すれば、現役世代の税負担や社会保険料の軽減も期待されます。
これにより、企業や家庭の経済的な余裕が生まれ、子育てや教育、住宅取得など人生の各段階で必要となる支出への対応がしやすくなるという副次的な効果も見込まれます。
また、高齢者の健康寿命が延び、介護の必要期間が短縮されれば、家庭内介護や介護離職といった課題の緩和にもつながり、労働力不足の緩和や生産性の維持にも貢献することができます。

こうした視点から、和田氏は「幸齢者の増加は社会全体の利益」と捉えています。
これは従来の高齢者政策とは異なる新しいアプローチであり、高齢者を「支えられる側」から「社会を支える側」へと再定義する提案でもあります。
高齢者の活躍が社会にプラスの循環をもたらすという理念は、広範な世代への共感を呼び起こす可能性を秘めています。

日本社会の未来を左右する幸齢党の挑戦

「幸齢党」は、和田秀樹氏の長年の医療現場での経験と、社会に対する鋭い問題意識から生まれた政治団体です。
その理念と政策は、高齢者のみならず、すべての世代の生活向上を視野に入れた革新的なビジョンに基づいており、日本が直面する人口構造の変化や財政的課題にも真正面から向き合っています。

和田氏は、医療制度の抜本改革を通じて、高齢者が活き活きと暮らせる社会をつくるだけでなく、若者や働く世代にも恩恵をもたらす「共生型社会」の構築を目指しています。
こうした包括的なアプローチは、既存の政党には見られない斬新な視点であり、政治に新たな風を吹き込む可能性を秘めています。

2025年の参議院選挙において、和田秀樹氏が掲げる「医療改革で世界もうらやむ日本を創る」というビジョンが、どれだけ有権者に届くかが注目されます。
高齢者だけでなく、すべての世代が恩恵を受ける社会を目指す幸齢党の挑戦は、単なる一時的な政治運動にとどまらず、日本社会全体の在り方を根底から問い直す大きな一歩となることでしょう。