オンラインカジノの依存症と中毒性の問題 設計された危険な仕組み

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オンラインカジノ
警察庁HPより転載

近年オンラインカジノはスマートフォンやパソコンを使って簡単に遊べるゲームとして人気があります。
しかし、日本国内において、日本国内から海外のサイトで運営されているものに接続して、賭博を行うことは犯罪です。

特別な知識や技術がなくてもすぐに始められるため、誰でも気軽にアクセスできることがオンラインカジノへの敷居を低くしています。
また、「海外にサーバーがあるため合法」といった誤った情報もよく聞きます。

しかし、その手軽さや面白さが裏目に出てしまうこともあります。
遊び始めは軽い気持ちでも、気づかないうちに長時間プレイしてしまったり、負けた分を取り返そうとさらに深くのめり込んでしまったりするケースが少なくありません。
このようにして、違法行為なのに依存症になってしまう人が急増しています。

特に若い世代にとって、インターネット環境が日常の一部となっている今、オンラインカジノへのアクセスが容易であるため、依存症のリスクはますます高まっています。
結果として、学業や仕事に支障をきたしたり、家庭や人間関係に悪影響を及ぼす例も多く見られ、大きな社会問題となっています。

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なぜオンラインカジノは依存症になりやすいのか?

オンラインカジノ
NHKより転載

オンラインカジノの中にはさまざまな種類のゲームがありますが、特に「スロットマシーン」は依存性が高いことで知られています。
スロットマシーンは操作が簡単で、誰でもすぐに遊び始めることができるうえ、短時間で結果が出るため、繰り返しプレイしたくなる仕組みになっています。
さらに、スロットマシーンでは少額でも頻繁に小さな当たりが出るように設計されており、たとえ大きな賞金を得られなくても「少しでも勝てた」という感覚が積み重なり、ゲームを続けるモチベーションとなってしまいます。
このような小さな成功体験の積み重ねが脳を刺激し、やめたくてもやめられない状況を生み出していくのです。

また、ゲームの派手な見た目や音響効果も依存症を引き起こす大きな原因の一つです。
鮮やかで目を引く色彩や、リアルで豪華なグラフィック、勝利時に鳴り響く大きな音やアニメーション演出は、脳内でドーパミンと呼ばれる快楽物質の分泌を促します

これにより、プレイヤーは強い快感を感じ、さらにプレイを続けたくなります。
こうした視覚・聴覚への強烈な刺激が絶え間なく与えられることで、プレイヤーは自然と次のゲームへ手を伸ばしてしまい、依存症に陥るリスクが高まってしまうのです。

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即座に結果が出ることで深まる依存

オンラインカジノ
MBS 毎日放送より転載

オンラインカジノのゲームは、プレイした瞬間に勝敗が決まるという特徴を持っています。
この即時性がプレイヤーの脳に強烈な刺激を与え、

「もう一度試したい」

「もっと遊びたい」

という強い欲求を引き起こします。
人間の脳は、結果がすぐに得られる行動に対して強く反応しやすく、この仕組みを利用することでオンラインカジノはプレイヤーの興奮を維持し続けます。

さらに、ゲームには「次は勝てるかもしれない」という希望を持たせる設計が巧妙に組み込まれています。
実際には勝つ確率が低く設定されているにもかかわらず、小さな成功体験「もう少しで大当たりだった」という演出によって、プレイヤーは期待感を抱き続けるのです。
この心理効果により、プレイヤーは負けが続いてもゲームをやめられず、何度も何度も挑戦してしまいます。

また、こうした即時性と期待感に加えて、勝敗の結果が偶然によって左右されるため、自分がコントロールできない運命に挑んでいるという感覚も刺激されます。
これらの要素が重なり合い、プレイヤーの理性的な判断力を徐々に奪い、依存が深まっていくのです。

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依存症になりやすい人の特徴とは?

オンラインカジノ
読売新聞オンラインより転載

オンラインカジノで依存症になりやすい人には、いくつかの共通する特徴があります。

一つ目は、家族に依存症の人がいる場合で、そのような環境にある人は自分自身も依存症になりやすい傾向があります。
家庭環境が大きな影響を与えるため、小さいころから依存症に対する抵抗感が薄れていることが多いのです。

二つ目は、気分が落ち込んでいるときや、不安が強いときにゲームに頼ってしまう人です。
精神的に不安定な状態では、快楽を簡単に得られる手段に手を伸ばしてしまい、オンラインカジノがその逃げ道になりやすいのです。

さらに、友人が少なく孤独を感じている人、仕事やお金の問題を抱えている人も依存症になるリスクが高いといわれています。
社会的なつながりが少ないと孤独感や無力感が強まり、その埋め合わせとしてギャンブルに没頭してしまうことがあるのです。

また、経済的な問題を抱えている人は「一攫千金」を夢見てオンラインカジノにのめり込みやすくなり、負けても取り返そうとさらに深みにはまる悪循環に陥りがちです。
これらの要素が複雑に絡み合い、プレイヤーをオンラインカジノのゲームに夢中にさせ、やがて依存症へと導いてしまいます。

ゲーム設計の問題点と改善方法

オンラインカジノ
ニューズウィーク日本版より転載

オンラインカジノゲームの一番の問題点は、プレイヤーへの刺激が極端に強すぎることにあります。
この過度な刺激は、脳内の快楽物質であるドーパミンの大量分泌を引き起こし、快感と興奮を短時間で繰り返し体験させるため、依存症を生み出す強力な要因となっています。

そのため、ゲーム設計においては、視覚・聴覚に訴える派手な演出をできるだけ控えめにし、過剰な興奮を与えないように工夫することが求められます。
また、プレイヤーが冷静さを保てるよう、プレイ時間の通知機能や一定時間ごとの休憩推奨機能を設けるといった対策も効果的です。

さらに、プレイヤー自身も依存症にならないよう、自己管理の意識を高めることが非常に重要です。
まず、自分にも依存症になるリスクがあることを正しく理解することが第一歩です。
そのうえで、遊ぶ時間やお金の上限を事前に設定し、感情的になったり熱中しすぎたりした場合には、すぐにプレイを中断する自己規律を持つことが求められます。
適度な距離感を保ちながら、自分をコントロールできる状態でオンラインカジノを楽しむことが、長期的に健康的な関係を築くための鍵となります。

オンラインカジノ依存症への今後の課題

オンラインカジノはこれからも技術が進歩し、さらにリアルで没入感のある体験が可能になると予想されています。

例えば、VR(仮想現実)を活用したカジノ空間の演出や、AI(人工知能)によるプレイヤーの行動パターン分析を応用したゲームのパーソナライズなど、技術革新は依存性をさらに強める可能性があります。
これにより、プレイヤーは現実世界を忘れるほどゲームに没頭しやすくなり、依存症リスクが一層高まることが懸念されています。

そのため、業界や政府による厳格な規制強化と、新しい技術導入に際しての倫理的配慮が不可欠となります。
プレイヤー保護を目的とした安全機能の義務化や、広告規制の徹底も同時に進める必要があります。

また、学校や医療機関、地域社会とも連携し、依存症の予防教育や早期発見に努めることが重要です。特に若年層をターゲットに、ギャンブルの危険性やセルフコントロールの重要性を伝える啓発活動を強化すべきです。
医療機関では、依存症患者のための専門的な治療プログラムや相談窓口を設置し、問題を抱えた人々が早期に支援を受けられる体制づくりが求められます。

オンラインカジノは手軽で楽しいゲームである一方、その強力な中毒性を軽視してはなりません。
また、大前提として、運営しているのが海外のサーバーであっても、国内でそこにアクセスして参加することは、賭博行為として違法です。

楽しさと危険性を正しく理解し、健全な遊び方を広めるために、業界・行政・教育機関・医療機関、さらにはプレイヤー自身が一丸となって依存症対策に取り組むことが不可欠です。
今後ますます進化するオンラインカジノの世界において、安全性を最優先する文化を築き上げていくことが求められます。

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