ドラクエ3性別廃止に賛否、ファンと多様性の議論

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人気ロールプレイングゲーム「ドラゴンクエストIII」のリメイク版が発表され、そこでキャラクターの性別表記が廃止されることが明らかになりました。
この斬新な変更に対し、ファンの間で賛否両論が巻き起こっています
長年のファンにとっては原作への愛着からの反発が見られる一方で、多様性を重視する現代の価値観を支持する声もあります。

この一件を通して、ゲーム業界におけるジェンダーのあり方と、変わりゆく価値観についての議論が活発化しています。果たして、この変更はどのように受け入れられるのでしょうか?

ドラクエⅢ①
ファミ通.comホームページより転載
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性別表記廃止の背景と詳細

今回のリメイク版では、主人公や仲間たちの性別表記が「男」「女」から「ルックスA」「ルックスB」に変更されることが発表されました。

さらに、性別によって異なっていた「性格」も共通化される見込みです。
たとえば、オリジナル版では「男」の場合には「むっつりスケベ」、「女」の場合には「セクシーギャル」といった性格が設定されていましたが、これらも統一される予定です。

この変更は、近年の社会における多様な性のあり方や、ジェンダーへの配慮を示すものと受け取られています。これにより、プレイヤーが性別にとらわれずにキャラクターを自由に選べる環境が整えられるという狙いがあると考えられます。

一方で、今回の性別廃止は「ドラクエIII」にとっては初めての試みであり、1988年に発売されたオリジナル版からの大きな変化です。
そのため、原作をプレイしてきたファンにとっては、ゲームのイメージが変わってしまうことへの戸惑いや懸念が強いことも事実です。過去のゲームの象徴とも言える性別選択システムが廃止されることで、「あの頃のドラクエ」を愛するファンにとっては少し寂しさがあるのかもしれません。

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賛成派の意見:多様性と現代性の反映

ドラクエⅢ①

賛成派の中には「最近のゲーム業界では、性別選択がない作品が増えており、時代に即した進化だ」という意見が多く見られます。

また、性的マイノリティーの情報を発信する団体の代表も「男女の二者択一は現代社会の多様な性のあり方を十分に反映していない」とし、キャラクターの選択肢をより多様化すべきだと求めています。

この点において、ジェンダーニュートラルなキャラクター選択は、自己表現の幅を広げるとして歓迎されています。
特に、トランスジェンダーやノンバイナリーといったジェンダーアイデンティティを持つ人々にとっては、性別表記がないことはより自由な自己投影の機会を提供するものと期待されています。

また、近年の社会的な動きやメディアの影響も大きく、さまざまなエンターテイメントの分野でジェンダーへの配慮が広がっています。

性別にこだわらないゲームデザインは、これからのゲーム業界にとっても新しい方向性の一つであり、多くのプレイヤーにとって魅力的に映ると考えられます。

ゲーム内での表現が現実社会の変化に対応して進化することで、今後もより多くの人々が親しみやすいゲームが生まれることが期待されています。

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反対派の意見:原作への愛着とポリコレへの懸念

一方、反対派からは「原作のイメージが損なわれるのではないか」という懸念が示されています。

1988年に発売されたオリジナル版は、多くのファンにとって思い出深いものであり、性別選択やその性別に基づく個性的な性格がゲームの楽しみの一つであったとされています。

性別表記の廃止については、政治的正しさへの過剰な配慮(いわゆるポリコレ)がゲームに入り込みすぎているという批判もあり、「ゲームの世界観が変わってしまうのでは」と不安を感じる声もあります。

さらに、「男女で違った性格設定があったことでキャラクターに深みが生まれ、ゲームに独自の個性が出ていた」という意見もあり、これがなくなることでゲーム体験が損なわれるのではないかと考えるファンも少なくありません。

オリジナル版の魅力を楽しんできたファンにとって、こうした変更は馴染みのあるドラクエらしさが薄れる可能性があり、理解しがたいものであることも理解できます。

堀井雄二氏の発言と国際的な反響

ドラクエ Ⅲ③
ファミ通.comホームページより転載

この論争が一層注目されるきっかけとなったのは、ドラクエシリーズの生みの親である堀井雄二氏が東京ゲームショウで発言した内容です。
彼は対談の中で「男女でいったい誰が文句を言うんだろう」と述べ、この発言がSNS上で大きく拡散されました。
さらに、X(旧Twitter)のオーナーであるイーロン・マスク氏がこの投稿をリポストしたことで、国際的にも大きな注目を集め、ゲーム業界におけるジェンダー表現の在り方を再考する動きが広がる結果となりました。

この国際的な反響は、ドラクエシリーズが持つ影響力の大きさを示していると同時に、ゲーム業界におけるジェンダーと多様性についての意識が世界的に高まっていることを示唆しています。

堀井氏の発言をきっかけに、今後のゲーム制作においてもジェンダーや多様性の観点からの配慮が求められるようになるかもしれません。

ゲーム業界全体への影響と今後の課題

ドラクエシリーズに限らず、ゲーム業界では「ポケットモンスター」などの人気タイトルでも性別表記の廃止が進んでいます。

これは多様性と包括性を重視する社会的な流れと密接に関連していますが、これにより従来のファンと新たなプレイヤー層への対応が今後の課題となります。
ゲームデザインにおいては、開発者がどのようにして古参ファンと新しいプレイヤー層の両方に応え、より多くの人々に楽しんでもらえるゲームを作り上げるかが鍵です。

また、こうした変更に対するプレイヤーの声を積極的に取り入れ、ファンと開発者の間でオープンな対話を図ることで、今後さらに良質なゲーム体験を提供できる可能性が広がります。
性別表記の廃止というテーマを超えて、より多様な価値観を取り入れることが今後のゲーム業界の大きなテーマとなるでしょう。

まとめ

ドラクエ3の性別表記廃止を巡る今回の議論は、ゲーム業界におけるジェンダー表現と多様性への対応、そしてファンの期待とのバランスを考える上で重要なテーマです。
多様な意見を尊重しながら、より多くのプレイヤーが楽しめるゲーム作りが求められています。

ファンの声に耳を傾けつつも、進化する社会の中で新しい価値観を取り入れ、包括的なゲーム体験を提供することが今後の鍵となるでしょう。
今後もこの動きがどのように進化していくのか、ゲーム業界全体が注目しています。

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