さくら野百貨店跡地:仙台駅西口再開発の行方を考える

仙台駅前は東北の玄関口として、多くの人々が行き交う重要なエリアです。
しかし、その西口に位置する「さくら野百貨店仙台店」跡地は、長らく再開発が進まず、巨大な廃墟として放置されています。
また、仙台駅の東西自由通路が新しくなり、新しい商業施設やホテルが続々と完成するなど、今まで「駅裏」と呼ばれていた東口エリアの活況は目覚ましいものがあります。

ここでは、西口駅前の再開発の現状と課題を振り返りつつ、仙台市がどのようにこのプロジェクトに携わるべきかについて考察します。

仙台駅前
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再開発の背景とこれまでの経緯

さくら野仙台店跡

「さくら野百貨店仙台店」は1950年代に「丸光」として開業し、その後幾度となく名称を変更しながらも、地元市民に長らく親しまれてきました。
しかし、2017年2月末に突然閉店。その背景には、東日本大震災以降の売上不振や、複雑に絡み合った土地建物の権利関係の悪化がありました。

さくら野仙台店1階防護壁

閉店後、跡地の再開発を巡っては複数の調停や訴訟が続き、2019年2月までビル関係者の間で争いが解決されないまま時が過ぎました。その結果、仙台駅前という一等地に廃墟が放置され、周囲は落書きや鳥の糞で汚れてしまいました。

現在の状況とPPIHの計画

PPIH建築計画予定図

2020年3月、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)が、跡地の約8割を取得し、再開発に乗り出すことを発表しました。PPIHは、オフィスやホテル、商業施設を含む大規模なビルを建設し、地域活性化を目指す計画です。ビルの高さは約150メートル、延べ床面積は11万平方メートルにも及ぶ予定です。

仙台市は「都心再構築プロジェクト」により、再開発を後押ししています。市は、補助金や容積率の緩和といった政策を打ち出し、PPIHのプロジェクトもこの要件を満たす形で進行中です。容積率は最大800%から1600%まで引き上げられ、再開発に向けた環境は整え後押しをしている状況です。

しかし、2024年9月現在、着工どころか、建物の解体にも至っておらず、依然として跡地は放置されたままです。PPIHが掲げた2024年着工、2027年完成という計画が達成されるかどうかは、現時点では不透明です。

仙台市の役割と再開発への提言

仙台市は、この重要な再開発プロジェクトにおいて、より積極的な役割を果たすべきです。市が今後取り組むべき具体的な施策として、以下のポイントが挙げられます。

1. 地権者との調整をリードする

再開発が進まない一因として、地権者間の権利関係が複雑であることが挙げられます。市は、地権者間の合意形成を加速させるための仲介役を果たすべきです。これにより、プロジェクトの進行をスムーズにし、遅延のリスクを軽減することが可能です。

2. 公共インフラとの連携強化

再開発エリア周辺のインフラ整備も重要です。仙台駅前は交通の要所であり、再開発に伴う人の流れや交通量の変化に対応するため、道路の拡張やバス、地下鉄の連携を強化する必要があります。また、観光客の増加も見込まれるため、駅から再開発エリアへのアクセス向上を図ることが求められます。

3. 市民の意見を反映した街づくり

再開発が進むにつれ、市民や地元企業のニーズを反映した計画が重要になります。仙台市は、定期的に市民との対話を設け、街づくりに関する意見を積極的に取り入れることで、より良い都市環境を作り出すことができます。例えば、地域の商業活性化だけでなく、コミュニティスペースや緑地の整備も考慮すべきです。

まとめ:再開発は仙台の未来を左右する

さくら野百貨店跡地の再開発は、仙台市の未来に大きな影響を与える重要なプロジェクトです
仙台市が積極的に地権者間の調整や公共インフラの整備、市民の意見を反映した街づくりに取り組むことで、成功に導けるでしょう。再開発の進展を見守りつつ、地域全体で共に歩んでいく姿勢が求められています。

この再開発は、仙台駅前がさらに魅力的な都市拠点となるための一歩です。今後、仙台市がどのようにこのプロジェクトをリードしていくのか、注目が集まります。
また、さくら野百貨店跡地の向かい側の、EDEN跡地(旧仙台ホテル、旧日の出会館ビル)の再開発に関しても、さくら野跡地と一体となって、仙台市がその再開発をリードしていくことを期待します。

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